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訪問診療、うちは対象?条件と頼み方をやさしく解説

訪問診療のことでこのようなお悩みはありませんか?

  • 訪問診療を始めたいけど、誰に連絡すればいいのかわからない
  • 自分の親が、訪問診療の対象条件にあっているかわからない
  • 訪問診療を利用しながら、今の外来にもたまに通院できるのか知りたい

親の通院が心配で訪問診療を検討したいと思っても、「誰に連絡すればいいの?」「対象になるの?」「今の外来と併用できるの?」と迷うことも多いのではないでしょうか。

訪問診療は「終末期(看取り)」のイメージが強く、親に提案することに罪悪感を覚える方も少なくありません。しかし実際には、通院が難しくなってきた段階から、条件を満たせば医療保険で利用できる在宅医療サービスのひとつです。

この記事では、訪問診療を受けるための条件や費用、相談先、始めるまでの流れをわかりやすく解説します。検討前に知っておきたいポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

訪問診療を受けるための条件とは?

「通院困難」と判断される具体的な基準

訪問診療の対象者となるのは、「疾病、傷病のために通院による療養が困難な者」とされています。
たとえば、以下のような状態が当てはまります。

「通院による療養が困難な者」の具体例

  • 脳梗塞や脳出血の後遺症で、杖や歩行器を使用していて外出に不安がある、あるいは外出が難しい
  • 認知機能の低下で記憶や判断力が低下し、1人で安全に通院することが難しい
  • 体調によって意識が混乱し外出や受診が不安定になる
  • 家族の付き添いが難しく一人での通院が困難
  • 動くとふらつきや失神の危険があり、外出が安全にできない
  • 少し動くだけでも息切れやだるさが出るなど病状が進行し外出の負担が大きくなっている
  • 在宅酸素療法や人工透析、胃ろうなど医療処置を受けている
  • ケガや手術後の影響で、移動や移乗に介助が必要

最終的には、医師が疾病・傷病の状態を踏まえて「通院による療養が困難」かを判断することが前提ですが、身体的な状況だけではなく、生活環境や精神的な要素も考慮されます。

訪問診療は、外来通院が負担になり始めた段階で検討できる医療サービスなのです。

対象エリアを決める医療機関からの16kmルール

訪問診療や往診は、原則として医療機関から患者の自宅までが「半径16km圏内」である場合に、保険診療として算定されます。

これは、緊急時に速やかに自宅に駆けつけるためです。あまりに遠方だと、急変時に医師がすぐに到着できないリスクがあります。一定の距離制限を設けることで、責任を持って対応できる範囲を定めているのです。

ただし、以下のような場合には16kmを超えても認められる場合があります。

  • 患者の自宅の半径16km圏内に、必要な専門診療に対応できる医療機関がない
  • 近隣に医療機関はあるが、往診等を行っていない
  • 重症児など特殊な専門性が必要で、近隣に対応できる医療機関が見つからず、依頼された医療機関も近隣の対応機関を知らない

「近くの医者を知らない」だけでは認められないので、地域の医師会などに確認することが必要です。

なお、16kmという距離はあくまで制度上の一般的な目安です。実際の訪問可能エリアは、医療機関の体制や地域事情によって異なるため、最終的な対応可否は各医療機関へ直接相談することになります。

訪問診療の費用はいくらかかる?

【例】1割負担の場合の月額費用の目安

訪問診療の費用は、主に「訪問診療代(診察代)」と「医学総合管理料(管理代)」などで構成されます。
高齢者(70歳以上)で医療費の自己負担が1割の方が、月2回の定期的な訪問診療(処方箋発行あり・院外処方)を受けた場合の月額費用の目安を次に示します。

項目 費用
訪問ごとの費用 約1,660円(833円×2回)
医学管理費用 約3,700~4,600円(月1回)
介護サービス助言費用 約580円(居宅療養管理指導費として/月2回)
合計金額 月額約6,000~7,000円程度

※本項目では、70歳以上で医療費の自己負担割合が「1割」の方を想定した目安を示しています。実際の負担割合(1割・2割・3割)や診療内容により自己負担額は異なるため、事前に医療機関へ確認してください。

患者の病状や検査・処置の有無、がんの末期などの状態により費用は加算されます。
70歳以上の1割負担の方には負担上限額(月額18,000円など)が設けられており、超えた分は高額療養費制度などで払い戻しが可能です。

医療保険と介護保険はどう使われる?

医療保険と介護保険の違いを表にまとめます。違いは、目的と役割です。

医療保険 介護保険
目的 治療が目的 自立支援が目的
役割 病気やケガをしたときの「診断」「治療」「処置」などをカバーする 加齢や病気によって日常生活が困難になったときの「生活の維持」や「自立支援」をカバーする
内容 医師による診察や薬の処方、医学的な管理が該当する ヘルパーによる家事援助や身体介護、デイサービス、リハビリテーションなどが該当する
対象 年齢に関係なく、病気やケガのリスクに備えるための制度 介護を社会全体で支えるための制度

訪問診療では、次のように適用されています。

医療保険
医師による診察(訪問診療)や医学的管理(在宅時医学総合管理料)、検査、処置、薬の処方
介護保険
医師や薬剤師等がケアマネジャーなどに情報提供や助言を行う「居宅療養管理指導費」など

訪問看護を利用する場合、原則は介護保険が優先されます。また、末期の悪性腫瘍や難病、病状の急性憎悪時など特定の条件下では医療保険が適用される仕組みになっています。
「状態が安定している時期は介護保険で生活を支え、治療が必要な時期や看取りの時期は医療保険で手厚く対応する」という役割分担がされているのです。

今のかかりつけ医(外来)と訪問診療は併用できる?

訪問診療は、外来通院との組み合わせが認められています。

在宅医療が「外来医療や入院医療と切り離された別個のもの」ではなく、「互いに足りない部分を補い合いながら、地域での生活を支えるための仕組み」として位置づけられているからです。

外来(病院)

自宅ではできない専門的な検査や治療を行う

訪問診療

普段の健康管理や薬の処方、生活のサポートを行う

自宅ではできないことを外来(病院)で行い、住み慣れた地域で、これまでと変わらない医療を提供できるようにしています。

例えば、普段の健康管理や薬の処方は訪問診療で行いながら、専門的な検査や治療が必要な場合のみ、これまでのかかりつけ病院(外来)を受診するといった併用ができます。

訪問診療は、通院が難しくなってきたときでも、外来医療と組み合わせながら療養を続けるための仕組みです。

訪問診療を受けたいと思ったときの主な相談先

入院中で、退院後に訪問診療を検討している場合

病院の「地域連携室」「退院支援・相談窓口」に相談しましょう。

病院の退院支援担当者が、地域の在宅医療機関やケアマネジャーと連携し、退院後の療養環境(訪問診療の手配など)を調整しています。

たとえば、次のように在宅と調整しています

  • 相談窓口の担当者である医療ソーシャルワーカーや退院調整看護師などが中心となり、病院スタッフと在宅ケアチームで会議を開催する。
  • 退院後の病状予測や、必要な医療処置(点滴や酸素療法など)、急変時の対応方針、家族の介護力などを確認し、在宅での療養計画を共有する。

入院中に、「訪問診療が必要かな」と思ったら、気軽に相談してみましょう。

自宅療養中で、担当のケアマネジャーがいる場合

担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談しましょう。

ケアマネジャーは医療機関と連携し、利用者の状態にあった訪問診療クリニックの紹介や、介護サービスとの調整を行っています。

ケアマネジャーによる調整の例

  • 「在宅酸素療法が必要」「胃ろう管理が必要」といった利用者の具体的な状態に合わせて、適切な訪問診療クリニックをスムーズに提案・調整する。
  • 利用者が入院した場合は、病院からケアマネジャーに連絡がいくため、普段の自宅での様子や介護力などの情報を共有し、退院が決まったときにスムーズにサービスが受けられるよう調整する。

ケアマネジャーがいる場合は、まずはケアマネジャーに相談するのが安心です。

ケアマネジャーがいない・介護認定を受けていない場合

住んでいる地域の「地域包括支援センター」が主な相談窓口になります。

センターには、次の「3職種」が配置されています。

  • 保健師(医療・予防)
  • 社会福祉士(福祉・権利擁護)
  • 主任介護支援専門員(介護全般)

各分野の専門職なので、医療・介護・福祉の面から包括的に支援できる体制が整っています。地域の医療機関や介護事業者などと連携するネットワークを持っているため、相談者に適切なサービスを案内できます。

たとえば、サービスを利用していない患者が入院先から退院する際に、地域包括支援センターへ連絡することで、本人の状態に応じて介護保険の申請や訪問診療などの情報を提供し、導入を支援してくれます。

地域の医師会や「在宅医療・介護連携支援センター」といった公的な相談窓口、近隣の医療機関に直接相談することもできるので、問い合わせてみましょう。

老人ホーム・サ高住など施設に入居している場合

施設スタッフや施設長に相談しましょう。

多くの施設では「協力医療機関」が定められており、施設内で訪問診療が受けられる体制で整えられています。

たとえば、入居者の体調が悪くなったときに、施設のスタッフが医師へ連絡し、医師が駆けつけてくれます。

施設には「協力医療機関」が定められており、入居時に施設スタッフからその医療機関の訪問診療を利用するかどうかの意向確認が行われます。利用する場合、医師は施設を定期的に(月2回など)訪問し、計画的な医学管理を行います。

訪問診療を始めるまでの具体的な流れ

STEP 01

問い合わせから事前相談・面談

電話やウェブサイトで、在宅療養支援診療所などの医療機関へ問い合わせましょう。

その後、患者や家族と医療機関の担当者(相談員や看護師、医師など)とで事前相談や面談を行い、現在の病状、家族の状況、これまでの経過などを共有します。

💡 準備しておくとスムーズなもの

現在のかかりつけ医からの紹介状(診療情報提供書)が必要になることがあるので、あらかじめ準備しておくと安心です。

STEP 02

契約手続きと初回診療の開始

診療内容や費用、緊急時の対応方針などに合意した後、契約手続きを行います。

重要:意思を尊重するプロセス

特に、情報の共有や看取りの方針、急変時の対応などについて説明を受け、同意を得るプロセスが重要視されています。これは、「人生の最終段階」における本人の意思を尊重するためです。

「最期をどこで迎えたいか」「延命治療を希望するか」といったデリケートな方針について、患者・家族と医療者が共通認識を持つプロセスがとても重要です。

急変時に「望まない搬送」や「混乱」を防ぐためにも、事前に十分話し合いましょう。

手続き完了後、計画に基づいた初回訪問診療が開始されます。

訪問診療を始める前によくある不安とトラブル回避のポイント

まだ歩けるのに利用していいの?

「通院が困難」という要件は、身体機能だけではなく、認知症による混乱や家族の介護力不足などにも考慮されます。

「通院プロセス全体」の安全性が重視されます

たとえ足腰が丈夫で歩くことができても、認知症による以下のような症状がある場合は考慮されることがあります。

  • 道に迷う
  • 待合室でじっとしていられない(混乱する)
  • 交通機関の利用が難しい

また、家族の介護力(付き添いの有無)も重要です。

  • 老老介護で配偶者も通院が大変
  • 家族が遠方にいる・仕事で休めない

身体的には歩ける状態であっても、「通院に伴う負担やリスク」が医療の継続を妨げている場合は、訪問診療の対象となる可能性があります。自己判断せず、医師やケアマネジャーに実情を相談してみましょう。

夜間や休日に具合が悪くなったら?

「機能強化型在宅療養支援診療所」などは、24時間365日連絡がつき、必要に応じて往診や訪問看護を行う体制を整えています。

機能強化型在宅療養支援診療所とは?

通常の「在宅療養支援診療所」よりもさらに人員体制が手厚く、緊急対応の実績が豊富な医療機関のことです。

契約前に、そのクリニックがどのような時間外対応体制をとっているか(自院対応か、連携医療機関による対応かなど)を確認しておくのが大事なポイントです。

費用面の不安

長期療養になるため、費用の見通しは重要です。

在宅医療は「単発の医療費」ではなく、毎月ほぼ一定額が発生する「生活の一部(固定費)」として家計に組み込んで考える必要があります。

自己負担割合は所得により異なり(1〜3割)、処置が多い月は1万円台後半になるケースもありますが、高額療養費制度により月ごとの上限額が設けられています。

契約前に知っておきたいよくある不安と考え方

他にもこのような不安があるかもしれません。

  • 契約後に話が違うと言われたくない
  • 訪問診療=終末期・看取りというイメージへの罪悪感
  • 自宅に他人が入ることへの心理的負担
  • 医師と相性が合わなかったらどうする?

訪問診療は一度始めたらやめられないものではありません。主治医の変更や契約の見直しが可能なケースも多く、合わないと感じた場合に「選び直す余地がある」ことも、事前に知っておきたいポイントです。

まとめ:訪問診療は条件・費用・流れを知ったうえで検討できる医療

訪問診療は、通院が困難になったときに自宅で安心して医療を受け続けることができるためのサービスです。医療保険が適用され、費用の上限も制度で守られています。

もし、「訪問診療を利用したほうがいいのではないか」と少しでも思う、通院や療養に関する不安や心配があるなら、まずは一度相談してみましょう。

あなたと家族が安心して療養できるように、最適なサポートを一緒に検討してくれますよ。