01 認知症や判断力の低下
通院に必要な「順序立てた行動」をまとめて行うことが難しくなります。
- 受診に必要なものを準備し、身支度をする
- 交通機関を利用する
- 医師に症状を伝え、説明を理解する
それでも、自分の仕事や家庭があり、毎回付き添うのは現実的に難しいですよね。
「まだ通院できているから大丈夫」そう思っていた矢先に、転倒や体調悪化をきっかけに、
一気に状況が変わってしまうケースも少なくありません。
あらかじめ通院を支える方法や、選択肢をしっておくことで、いざというときにも慌てず、
必要な支援につなげることができます。
この記事では、高齢者の通院が難しくなった時に、家族として「何から考えればいいのか」を整理しながら
利用できる支援やサービスをわかりやすくご紹介します。
高齢者の通院に不安を感じ始めたときの参考にしてください。
高齢者が、これまで通えていた病院への通院が難しくなる背景には、身体や心身のさまざまな変化が関係しています。
通院に必要な「順序立てた行動」をまとめて行うことが難しくなります。
移動や待ち時間で、病院に着く頃には既に疲れ切ってしまう事もあります。
身体的な不安や安全面の問題から、外出自体を避けてしまう事もあります。
高齢者が通院できない時でも、適切な支援サービスを利用することで、心身の負担を軽減しながら必要な医療を継続することができます。
ここでは、代表的な支援やサービスをご紹介します。
高齢者にとって、病院へ行くまでの移動は思っている以上に大きな負担になることがあります。
バスの段差や電車の乗り換えは、足腰が弱くなったからだにはつらく感じやすく、
「交通機関を使うほどではないけれど、歩くには遠い」と感じる距離でも、通院そのものが大変になることも少なくありません。
そんな時に頼りになるのが、介護タクシーや福祉タクシーです。
どちらも、身体が不自由で外出が大変な方や、移動中に介助が必要な方の「移動の手助け」をしてくれるサービスです。
名前が似ているため、混同されがちですが、利用できる条件や費用の仕組みには違いがあります。
それぞれの違いを、ポイントごとに見てみましょう。

このように、介護タクシーは「通院時に介助が必要な方向けのサービス」、福祉タクシーは「移動手段として柔軟に使えるサービス」と考えると、違いが分かりやすくなります。
本人の状態や利用目的に合わせて、無理のない方法を選びましょう。
自費ヘルパーとは、介護保険を使わず、利用者が全額自己負担で依頼する介護・生活支援サービスを行うヘルパーの事です。
介護保険では対応できない、病院内の介助や診察への同席、院内での見守りなどをカバーできるため、
院内で一人で診療の順番を待ったり、医師の説明を聞くことが難しい高齢者におすすめです。
訪問介護事業者が介護保険の範囲外として自費サービスを提供している場合や、NPO、住民ボランティア、個人事業主などがサービスを提供しています。
介護福祉士や実務者研修修了者、介護現場経験者が対応しているケースも多く、介護経験がある点で安心して任せることができます。
料金は時間制が一般的で、交通費は別途実費清算となることが多いです。
介護保険では原則として院内の付き添いができないため、「どうしても院内でそばにいてほしい」という場合に活用できるサービスです。
こうした移動や付き添いの支援を利用してもなお、通院そのものが大きな負担になってきた場合には、
医師が自宅を訪問して診察を行う「訪問診療」という選択肢もあります。
次の章では、訪問診療の基本的な仕組みや、利用を検討する目安について解説します。
「まだそこまでではないのでは」「訪問診療は最終手段なのでは」
と感じる方も多いかもしれません。
高齢者が通院できないとき、自宅で医療を受けられる訪問診療は、本人にとっても支える家族にとっても大きな助けとなります。
一方で、利用経験のない人にはなじみが薄く、「どんなことをしてくれるの?」「往診と何が違うの?」といった疑問を持つ人も少なくありません。
ここでは、訪問診療の基礎知識を紹介します。
訪問診療とは、通院が難しくなった患者に対して、医師が計画的・定期的に自宅(または施設)を訪問し、住み慣れた環境で医療を継続するための仕組みです。
病気や障害などで病院へ行けない人のために、あらかじめ計画を立てたうえで医師が自宅を訪問します。
患者の要請を受けてその都度対応する「往診」とは異なり、定期的なスケジュールを組んで、継続的な健康管理を行う点が特徴です。
訪問診療を利用できる対象者には条件があります。
厚生労働省では、
たとえば、寝たきりや重度の認知症、終末期、重度の障害がある場合などがあげられます。
また、高齢による移動困難や、独居で付き添う人がいない、交通手段が確保できないといったケースも、社会的な理由として考慮されることがあります。
ただし、必ずしも希望通りに利用できるわけではなく、最終的には医師の判断が必要となる点には注意が必要です。
患者の状態に合わせて、基本的に月2回などの定期的な訪問が行われるのが訪問診療です。
容体が急変した際には、臨時の往診(臨時の訪問診療)で対応できるため、夜間や休日の体調不良にも対応できる安心感があります。
定期訪問と緊急往診を組み合わせることで、自宅に居ながら継続的な医療を受けることができ、本人も家族も安心していつもと変わらない生活を続けることができます。
訪問診療は、「病院医療と連携しながら自宅療養を支える」役割を担っています。
在宅での対応が難しい状態になった場合には、病院と連携して入院に繋ぐこともできるため、家族も安心して任せることができます。
訪問診療をスムーズに進めるためには、日ごろから情報を集めておくことが大切です。
次のような変化や負担を感じるようになったら、在宅医療への切り替えを前向きに考えるタイミングかもしれません。
ここでは、高齢者本人の状態だけでなく、支える家族の負担や限界という視点から、訪問診療を考えるタイミングを整理します。
通院の付き添いは、高齢者本人だけでなく、家族の負担も大きく影響します。
もし「最近、付き添うのがつらいな」と感じるようになったら、本人やあなた自身の体や心の状態が変化しているサインかもしれません。
たとえば、次のようなことはありませんか?
付き添う家族の負担が重くなりすぎると、余裕がなくなり、優しく接することが難しくなることもあります。
お互いにストレスを抱え込まないためにも、早めに相談することをおすすめします。
日常生活での介助量が増えると、介助に費やす時間も増え、自分の生活とのバランスを取ることが難しくなってきます。
「生活とのバランスを取るのが難しい」とは、どのような状態でしょうか。
たとえば、
といった状況が考えられます。
ほかの家族の協力が得られなければ、介護を担うあなたの負担は増す一方です。
自分自身を守るためにも、「もう限界かもしれない」と感じたときには、訪問診療の利用を検討してみましょう。
通院が頻繁にできない状態で体調を崩すことが増えると、家族としても不安が大きくなりますよね。
訪問診療では、急な体調変化があった際にも連絡や相談ができる体制が整っています。
夜間や休日にも対応してくれる医療機関もあり、主治医に24時間連絡、相談できる点は大きな安心材料です。
体調を崩す頻度が増え、急な病状悪化の不安が強くなってきたら、自宅で診てもらえる訪問診療への移行を検討するとよいでしょう。
「今は通院できているけれど、年齢を考えるとこの先も続けられるのか不安」と感じることもありますよね。
筋力や認知機能の低下により「通院そのものが負担」になってきた段階で、あらかじめ診療計画を立てた訪問診療に切り替えることで、受診が途切れるリスクを減らすことができます。
たとえば、通院がつらくなり始めた初期段階で訪問診療について相談しておくと、本人の状態に合わせて外来から在宅へ移行する準備を進めることができます。
事前に相談しておくことで治療の中断を防ぎ、医療の空白期間を作らずに、スムーズに在宅医療へ移行できるのです。
特に、入院ではなく在宅療養を希望している場合は、通院がまだ可能な段階から在宅医療に関する情報を集めておくことをおすすめします。
「通院のことで困っているけれど、どこに相談すればいいのかわからない」と迷うことも多いですよね。ここでは、通院で困ったときの主な相談先を紹介します。
かかりつけ医は、普段から定期的に診察を行っているため、患者さんの病状や生活背景をよく把握しています。
現在の状態を踏まえたうえで、適切なアドバイスをもらえ、必要に応じて適切なサービスへつないでくれます。
地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活が続けられるよう、自治体が設置している「高齢者のための総合相談窓口」です。
生活の困りごとに対して、どう乗りこえていくかを専門的な知識をもとに一緒に考えてくれる、ガイドのような存在です。
特に、「かかりつけ医がいない」「初めてで何から始めればいいかわからない」という場合は、地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。